週末料理録

Weekend Cooking Record

あゝ思い出のイトーヨーカドー

イトーヨーカドーが北海道・東北・信越から撤退するというニュースがあり、

www.nikkei.com

その直後にセブン&アイがヨーカドーを売却するという噂が広がり、

toyokeizai.net

さらにはその発表を受けて今日セブンの株価が急上昇したりして、私は悲しい。なぜなら私にとってヨーカドーは地元の思い出、青春の1ページだから。

10代を過ごした私の地元には大きなヨーカドーがある。小学校から中学校に上がる前の春休みに、それはでかでかとオープンした。そして当然のように地元民のたまり場になった。成人式の会場もヨーカドーの隣のホールで、私たちはヨーカドーに見守られながら祝福された。

思えばこれまでも何軒ものテナントが入っては撤退していった。思い出の店も、そうでない店もある。特に1階エントランス前の一角は、好立地なのになぜか入れ替わりがとても激しい。クレープのモミアンドトイズ、棒状のやさしい味のドーナツを売っていたにゃんこのしっぽ(これは10代で亡くなった私の友人の大好物だった)、緑色を基調としたタピオカドリンク店のブルプル。そして最終的には地元の名士ともいえるキャトルキャールというケーキ屋さんが、なぜか同じ建物内に2軒目の店を構えるという事態で落ち着いた、というのが私の記憶だ。

1年ほど前、とても久しぶりにこのヨーカドーに立ち寄った。どんな人も取り残さないというポリシーから超低速に設定されたエスカレーター。これに乗れば、どんなに歳月が経っていても、ヨーカドーに戻ってきたんだという気持ちになる。

ゆっくり時間をかけて4階のフードコートにたどり着く。オープン当初はなかった中華屋さんで台湾ラーメンを注文した。4階店舗の生存率は割と高い。でも、この中華屋があったところはもともとキッズエリアだった。

3階の本屋や無印と組み合わせれば、ここで無限に時間を潰せそうだった。学生の頃ははなまるうどんのかけ1杯で何時間も粘ったのだった。

地下1階の食品売り場。この前、地元で子供を育てる友人の家にお邪魔した時に、ここでお惣菜やらお菓子屋らあれやこれや買い物をしてから向かった。広すぎて眩しすぎて疲れる。レジに並ばなくて済むサービス専用のカートはやけにゴツい。アプリを入れて使うみたいだけど、難しくてよくわからない。

この食品フロアが輝いている限り、近隣にボコボコ建ったマンションに住むファミリー世帯の需要があるだろうから、簡単には潰れないだろうと思う私の地元のヨーカドー。どこで間違ったのだろう。あまりにも入れ替わりや変更が多すぎて、もはや何のせいだったかは知る由はない。でも、なんとなくだけど、ゆっくりなエスカレーターを誰のために作ったのかを、今はもう忘れてしまっていることが原因のような気がしている。

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